医療事故発生時の対応
日頃から患者との信頼関係が重要である。信頼関係があり、誠実に対応するならば、訴訟まで発展することは少ない。
事故発生にあたり、患者家族には事実のみを冷静に説明する。嘘をついたり、ごまかしたりしてはいけない。
しかし、法的評価には触れないのが原則である。
現実に医療事故が発生しても、医療過誤かどうかの判断は、簡単ではない。
結果から振り返ってみれば、誤った選択をしたり、間違った処置であることはままあるが、それは直ちに過失があったということにはならない。
「結果がわかっておれば誰でも賢明である」が、医学の不確実性から、やってみなければわからないこともあり、医療の現場で、その時々に得られる情報は限られていて、常に最善の医療を行えるわけではない。
悪い結果に、混乱したり、患者家族との対応に冷静さを失い、安易に過失(医療過誤)を認めるようなことは、厳に慎まなければならない。
また、過失があったとしても、その過失と結果との間に必ずしも因果関係があるとは限らない。
法的責任(損顔賠償責任)は、「過失」と「因果関係」と「損害の発生」が要件である。
法的責任があるかどうかの判断は、基本的には法律家でない医師には判断できないものと考えておくべきである。
法的責任の有無は、ほかの医師の意見や医療過誤に詳しい弁護士などに相談することが大切である。
しかしながら、明らかなミスは、直ちに謝る必要がある。それがなければ今後の信頼関係が築けないし、適切な事後処置ができない。