医療事故を起さないために
医療紛争に巻き込まれないように、普段からさまざまな注意義務を尽くすということは大切ですが、その中でただひとつだけあげるとすれば、それは「インフォームド・コンセントの徹底」でしょう。
患者の権利の核心は自己決定権です。そのためには医師が行うべき「インフォームド・コンセント」がもっとも重要視されます。
もともと医療行為は不確実なものであり、常にリスクを伴います。医師はそのことを十分に患者に説明し、それによって患者が納得して医療行為に同意する。そのことが現在ではもっとも重要視され、多くの裁判でもその点が大きな争点となっています。
判例では
「患者には、手術の目的、方法及び内容のみならず、手術の危険性、手術に代わる治療手段の有無、手術をしない場合の予後の見通し等、手術をするか否かを決めるにつき考慮の対象となるべき情報が与えられる必要がある。とりわけ当該手術が重大な危険性を伴うものである場合は、専門的見地から可能な限りその危険性のみならず、その発生頻度を具体的に患者に説明した上で患者の自己決定にゆだねる義務がある。」(仙台高裁平成6年2月15日判決)
とりわけ、リスクの高い医療については、合併症などの危険性の説明は欠かせません。